少し経つと、遊也くんと絢音ちゃんもホテルに戻って来た。




4人でホテル内にあるレストランで早めの夕食をとることにした。




そのレストランは、茶色のレンガ造りで、薄暗いオレンジ色のライトが落ち着いた雰囲気にさせてくれた。




丸いテーブルを4人で囲む。




「今日クリスマスイブだし、ケーキも頼もぉよ!」




絢音ちゃんがメニューを見ながら、ニヤニヤして言った。




「そやな。ほんで乾杯しよーや」




そんな絢音ちゃんを遊也くんは微笑ましく見守っている。




「沙羅、何のケーキにする?」




そう言って蒼は体を横に倒し、私にメニューを見せてきた。




「うーん…たくさんあって迷うね…どれも美味しそう…」




ショートケーキに…チョコレートケーキ、チーズケーキ、モンブラン、莓のタルト……




甘いモノは
見てるだけで幸せになれる……




「絢音はどーせ2コ食うんだろ?」




「蒼ってば…うるさい」




「じゃー1個で我慢するんだな?」




蒼はイタズラに笑い、絢音ちゃんをからかっている。絢音ちゃんもムキになり言い返している。なんだか小さな子供のケンカみたい。




「3個食べるもんっ!」




「はぁ!?チビのくせに、もっとデブんなったらどーすんだよ」




「な…っ!うっさいわねぇ!蒼に関係ないでしょ?」




絢音ちゃんは手元の近くにあったおしぼりを、蒼に向かって投げつけた。




蒼は舌を出して、絢音ちゃんを完全にからかっている。