遊也の唇が離れて、あたしはそっと目を開けた。




遊也の心配そうな顔が目の前にあった。




あたしは…遊也に

そんな顔ばかり…




不安そうな顔しかさせてないね




遊也はベッドの上に座り、あたしに背を向けた。




「なんか…あったんか…?」




「なんもないよ…遊也…」




あたしは起き上がり、座っている遊也の背中に抱きついた。




「心配するやろ…?」




「怒ってんの?遊也…ごめんね?」




遊也の身体に強くしがみついた。




「ちゃうって…怒ってなんかおらんて…」




「…遊也……怒らないで……」




「せやから…怒ってへんて…」




ごめんなさい……


もう…遊也を裏切ったりしないから…




許して……




「…好き……」




「…え…っ…?」




「……好きだから…遊也……」




遊也にちゃんと

好きって言うの




お酒に甘えてなんて


言いたくなんかなかったのに……




あたしは…

どこまで最低なんだろう……―――。






意志と心は別で




あたしがこんなに不安定なのは


意志と心のバランスがとれてないから




頭ではわかってた




蒼は沙羅を好きで

沙羅は蒼が好き




こんなあたしを

好きでいてくれる遊也


あたしは遊也を

好きになる




皆が幸せになるには

それが一番だと……




でも心が…

あたしの心が


ついてきてくれない




あたしの心が

蒼を掴んだまま




離してくれない……―――