「……えっ…なっ…違うよ……何で?」




この子、明らかに動揺してる。本当に正直な子。




「蒼は…絢音ちゃんと別れた理由を沙羅に教えてくれないから……」




「…そうなんだ?別に特別なことは、何もないよ?ただの、幼なじみに戻っただけ」




目を背ける絢音ちゃんがおかしくて仕方なかった。




「二人が別れたのって…もしかして沙羅のせい…?」




悲しい顔をして…よくもこんな白々しい演技ができるなんて…自分で自分を笑いそうになった。




「違うよ…沙羅。…あたしと蒼は三年近くも会ってなかった…お互いに色んなこともあって……」




絢音ちゃんは、来たばかりのワインを飲み干して言った。




「蒼は沙羅を好きだよ……そう、あたしに言ったの。だから…蒼とあたしは、ただの幼なじみだから…」




「本当に…もう何とも思ってない?…沙羅ね、絢音ちゃんともずっと仲良くしていきたいんだ…。蒼のこともよく知ってる人だし……」




「うん…それに…あたしには遊也がいるから……」




「遊也くんと…うまくいってるの…?」




「えっ…うん。うまくいってるよ…?」




「そっか……沙羅も二人のこと…応援してる」




「ありがとう…。あたしは…今、遊也を大切にしたいって思うから…」




それが嘘か

本当か




すぐにわかるから……




どっちでも構わないけれど




「あたしね…蒼には幸せになって欲しいから…幼なじみとして…これからもそう願ってる…」