「ふふっ…蒼とラブラブだよ?なんちゃって。でも幸せ…本当に……」




「………そう…よかった……」




やっぱり…思った通り…


まだ…蒼を好きなんでしょ……?




私は追い討ちをかけるように続けた。




「本当はね、声が出るようになって怖かったんだ……」




「…えっ……?」




「沙羅の声が出るようになったら、蒼は沙羅を…捨てるんじゃないかって…不安だったの……」




「沙羅…」




「でもね、心配なんて何もなかった。蒼は沙羅とずっと一緒にいてくれるって約束したし…」




「………そうだよ…沙羅みたいにこんな可愛い子…蒼が捨てるわけないじゃん……」




もっと…深く

深く……傷つけたい




蒼は私のモノだってこと


教えてあげるんだから




「絢音ちゃんだって可愛いよ?沙羅ね、絢音ちゃんと友達になれてよかった…」




この子は、私に作った笑顔を向けた。私も演技だけれど、この子の、この感じが妙に腹が立つ。いい子ぶるところ。




「絢音ちゃん…もしかして…」




「ん…?なに…沙羅…」




「やっぱり…いい」




「えっ…言ってよ…」




私はワイングラスを置いて、絢音ちゃんの目を真っ直ぐに見つめた。




「絢音ちゃん…もしかして蒼のことまだ好き…とか?」