幼なじみ〜first love〜

――…12月に入り、街の並木道はイルミネーションで彩られている。




会社帰りのサラリーマンやOL…灯りの中を慌ただしく行き交う。




並木道の真ん中に噴水広場がある。




その噴水広場には、テレビや雑誌などでも取り上げられるほどの、大きなクリスマスツリーがあり、この時期は夜になるとライトアップする。




「……さむぅ…」




ピンク色のマフラーに顔をうずめた。




その大きなクリスマスツリーの下で、私は待ち合わせをしていた。




「…沙羅っ…!」




前から白い息を吐きながら走ってくる、背の小さな女の子。




「…絢音ちゃんっ!」




私は笑顔で大きく手を振り上げた。




「……ハァ…ハァ…ごめんねぇ…レポート書いてたら、電車乗り遅れちゃったぁ…」




絢音ちゃんは寒い中走って来たからか、頬がほんのりピンク色に染まっていた。




「全然待ってないから大丈夫♪」




「ねぇツリー…すっごく綺麗だねーっ!!」




「うん…」




二人で大きなクリスマスツリーを見上げていた。




「絢音ちゃん、何食べに行く?」




「あっ!いま来る時に美味しそうなパスタ屋さんあったよ?」




「ん…そこにしよっ♪」




私たちはイルミネーションで彩られた並木道を歩きはじめた。