失ったはずの声が

突然治った日…




私は…すごく悩んだ




パパが死んで

沙羅の声も死んでしまったって思ってたから




もう…諦めていたから…




大きな声で


笑ったり

泣いたり




愛する人に

愛を言葉で伝えられる




諦めていた夢を

また目指せる




大好きな歌を

また歌えるのに……




声が出ないフリをするのは




ツラいのに……




自信がなかったの……




君を……


蒼を……繋ぎ止める自信がなかったの……




沙羅の声が治ったと知ったら


蒼はきっと…




罪の意識から逃れられる




安心するだろうね……




沙羅には…蒼を繋ぎ止めるものなんて




…何もないから……




それでも

ひとりになるのは…怖かった




誰もいない

ずっと……




誰も…誰も…




そんな世界は

寂しくて…

淋しくて……




心が死んでしまう




自分を守ろうとするのは

悪いことなの…?




幸せになりたいと願うのは

沙羅だけじゃないでしょ…?




誰だって……




自分が一番可愛くて

自分を一番知っていて

自分が大事なんだもの




人に何を言われても構わない




もう…決めたの




責任でも罪悪感でも

何でも構わない




蒼を縛りつけて




絶対に離さない……―――。




だから今夜は




どんなに遅くとも




眠らずに


蒼の帰りを待ってる……