俺は、仕事を終えて、車で絢音の家へと向かっていた。




「なんやねん…信号よく引っかかるなぁ。また赤やんけ」




俺は、ブレーキを踏んだまま、ちらっと窓の外を見る。




「絢音ん家まで…すぐそこやのに……」




絢音に早く逢いたい……




俺はすぐ不安になる




目を離した隙に




アイツがどこかへ

いってしまうんやないかって……




せやけど、無理に繋ぎ止めることは出来へん。




俺のこと好きやなくてもええ




絢音はたぶん一生、蒼を忘れられへん




それでも俺を“好きになりたい”と…

アイツは言ってくれた




可能性は1%もないかもしれへんけど




それでも俺は

絢音のそばにおりたい




絢音を笑顔にしてやりたい




絢音を守ってやりたい




絢音を愛していたい




信号が青になり、アクセルを踏み込んで、車を走らせた。




歩道を足早に歩いている女がふと目に入った。




俺は、ハザードランプを押して、道路の左側に車を寄せて止めた。




なんで沙羅が…こんなとこにいるんやろ…?




俺は車から降りて、後ろ姿の沙羅に声をかけた。




「沙羅…やろ…?」




俺の声に、沙羅はゆっくりと振り向いた。