「…お待たせしました。これで全部だと…」




彼女は、袋を受け取り軽くお辞儀をして、あたしにメモを渡した。




“よかったら、メルアド教えて?”とメモに書かれていた。




「え…っ…あぁ……はい…」




戸惑ったけど、うまく断る言葉も見つからずに、彼女にメールアドレスを教えてしまった。




その場で沙羅は、携帯で何やらメールを作っているようで、しばらく沈黙があった後、あたしの携帯にメールが受信された。




“突然やって来てごめんなさい。私の名前は沙羅です。

蒼の荷物とか、沙羅が見たい映画のDVDも絢音ちゃん家にあるの聞いてて、蒼は取りに行かないって言うから、勝手に来ちゃったんだけど、迷惑だったよね?ごめんなさい。

蒼から幼なじみの絢音ちゃんのこと聞いてる。沙羅も絢音ちゃんと仲良くなりたいな。よかったら友達になってもらえないかな?”




すごく不安そうな顔で、あたしの顔色を伺う沙羅に、あたしは作り笑顔で「いいよ」と頷くしかなかった。




沙羅は嬉しそうに微笑んだ。