何年かぶりに来た遊也の部屋は、相変わらず物があまりなく生活感のないシンプルな部屋だった。




高校の時と違うのは、遊也が働いて社会人になって、ちゃんとお金を稼ぐようになったから、ソファーやテーブルなどの家具が高そうな物に変わっていたこと。




「遊也…大人になったね…」




「ブッ…なんやそれ」




「ソファー…ふっかふかだし、高いやつでしょ?ワイングラスも置いてあるしさぁ、なんか大人」




あたしはソファーに座り、上下に弾んでみる。




「別に高くないで?ワイングラスは会社の人に、もろうたんや」




「ふーん…」




「何飲む?…俺の大好きなイチゴ牛乳ちゃん、特別に今日は…おまえにやってもええで?」




「フフッ…いらないしっ!温かいのがいいな…」




「ミルクココア作ったろか…?」




「うん…ありがと…」




甘えちゃいけないのに




ひとりで生きてくって

決めたのに…




でも今ひとりになったら




悲しみに潰されて

自分が消えてしまうんじゃないかって




すごく…怖くて…




遊也はきっと…

あたしの考えてることわかってる




だから自分の家に

連れてきてくれたんだ




甘えちゃいけないのに


頭ではわかってるのに




でも…遊也がそばにいてくれることに




安心してる

あたしがいた