家に向かって歩きながら、電話に出た。




「…はい」




“…蒼?…悪い…俺や……”




電話越しの遊也の声は、ひどく元気がなかった。




「……遊也…、…絢音…大丈夫だったか…?」




“…大丈夫なわけないやろ?”




「絢音になんかあったのか!?」




“蒼から電話来た後すぐに、俺はおまえの言う通りに…あの海へ向かったんや…”




「絢音は…?」




“俺は…キッパリとフラれたんや…”




「遊也……」




俺は…遊也に絢音を任せた。




遊也は、絢音を本当に心から愛しているから……。




俺がいなくても

アイツが幸せにしてくれる




絢音の幸せを

遊也に託したんだ




“俺は…やっぱり蒼の変わりになんてなれへんよ…”




「遊也…俺は…」




“わかってる!…せやけど…絢音は俺を見ようともしてへん…。これからも俺は絢音のそばにいる…蒼やなくて、俺やなくて…絢音を幸せにしてくれるヤツが現れるまで………ずっと絢音を見守り続ける…”




「…絢音は……弱いよ。遊也が思ってるより…ずっと……。だからアイツの強がりも全部…受け止めてやって……」




絢音も


俺も……




人はみんな

弱いイキモノだから




愛すべき守るものがなければ




強くなんかなれない……―――