――……朝、沙羅が出掛けた後、俺のアパートに絢音の母ちゃんが訪ねてきた。




今、一番…逢いたくない人だった……




それでも逃げるわけには、いかなかった。




俺は、絢音の母ちゃんに金を借りていたから……






――…俺と絢音の母ちゃんは10分ほど話し、喫茶店を後にした。




「…また、来るわ…」




絢音の母ちゃんは、そう言って俺に背を向けて歩き出した。




「…あのっ…!」




俺がおばさんを呼び止めると、おばさんは、無言で振り返った。




「あの…もう…お互いの為にも…会うの止めませんか?ちゃんとお金は今まで通り振り込んで返しますから……」




俺は、頭を下げた。




「………わかったわ」




おばさんの返事に、俺は顔をあげた。




「そのかわり、私との約束…ちゃんと守るのよ…?」




冷たい瞳が


俺を睨みつける……




「…約束…守ります…ちゃんと…守りますから……」




俺の言葉を聞き、おばさんは背を向けて歩き始めた。




俺も家に帰ろうと、歩き出した時…、




ピリリリリ……―――




ズボンのポケットから携帯を取り出し画面を見ると、遊也からの着信だった。