俺はイライラしてたんや……




自分に……




何もできへん…自分に……




「何だよ、その言い方…俺だって、美々だって…遊也のダチだし、蒼のダチでもあんだよ…。何で俺らだけ、のけ者にすんだよ?」




ケンも美々も、真剣に俺を見つめる。




「おまえらは…正しいことしか言わんやろーから。蒼の気持ち…理解することなんて、できひんよ」




「そんなの…言ってみなきゃ、わかんねぇーじゃん」




「……1ヵ月前、蒼が…絢音と別れたんは知ってるやろ?」




「あぁ…美々が絢音っちから聞いて、それを俺は美々から聞いたけど。蒼に好きな女ができたって…嘘だろ?だってさ…あんなに絢音っちに、べた惚れだったじゃんか……」




正しいか

正しくないかなんて




言われなくても




蒼は

わかってるんや




自分が正しいかなんて

アイツには

関係あらへん……




アイツは

“これが運命なんだ…”




そう言ったんや




何もかも

わかってんねんから…




正しいことが

必ずしも
正解というわけじゃない






「蒼…今、女と暮らしてんねん。このまま…結婚するんや…――」








運命は

残酷すぎるほどに




試練を与える




泣いてるだけじゃ

嘆いてるだけじゃ




前に進めなくて




正しいだけじゃ

優しさだけじゃ




生きてなどゆけないと




俺たちは知った…――。