部活の休憩中、グラウンドの隅に座っていた俺に、水の入ったコップがいきなり目の前に差し出された。




「あーおくんっ♪はい、お水」




マネージャーの夏川が、俺の横に腰を下ろす。




「……さんきゅ」




俺は、夏川が差し出したコップを手に取った。




「…ヘヘッ」




夏川がいきなり笑い出したので、俺は引き気味で夏川の顔を見た。




「何?」




「蒼くんって普通にしててもカッコイイけど…サッカーしてる時は、めちゃくちゃカッコイイねっ!」




「そりゃ、どーも」




俺は素っ気なく、冷たく言ったつもりなのに…


懲りねぇ…女




「蒼くんのサッカーしてる所、これからずっと見られるなんて…栞、嬉しいなっ」




絢音に…試合見に来てもらうためにも




練習して、早くレギュラーなんなきゃな!




「ちょっと、蒼くんてばぁ〜!話聞いてる〜?」




夏川は俺の腕をグイッと引っ張り、顔を近づける。




「えっ?あぁ…聞いてなかった」




練習、頑張ろっと。

俺は夏川の手を振り切り、全力でグラウンドの中心へ向かって走った。



「ちょっと蒼くんてばぁ〜っ!」




絢音にカッコいい所、見せないとな……!