「…絢音…わかったから…。せやから…二度と誰も好きにならんなんて言わんといて?」




「…遊也……」




「…蒼やなくて、俺やなくて、おまえを幸せにしてくれるヤツ…絶対現れるから」




遊也の切ない瞳が、あたしを真っ直ぐ見つめる。




「…ごめんね…遊也…っ」




「何でおまえが謝んねん…俺がおまえのこと、好きで諦められへんからや…」




遊也はあたしの手を握り、深くため息をついた。




「ひとつだけ、約束して欲しいんや…」




「……うん、何…?」




「これから先も、絶対に…死んだりせぇへんって…約束してくれや」




「…さっきも言ったけど、もぉそんなことしたりしないって…」




「大切なヤツが死ぬのは…これ以上嫌やねん……」




遊也の目から、涙が一筋流れた。




「大丈夫…約束するよ」






きっと…大丈夫




今日だけは

いっぱい…いっぱい泣くから……




悲しみも

涙も

過去も


海に流して




涙が枯れ果てるまで

泣いたら




明日からは強くなるの……




もう二度と

泣かないように……―――。








生まれてからずっと

あたしには




蒼が全てだった




蒼しかいない

蒼しかいらない




そう思ってた




どれだけ傷つけられても




好きだよ


ねぇ……蒼




愛してたよ……―――




でも蒼は…もう

同じ気持ちじゃないんだね……―――




だからこれが




最後の言葉……―――




“幸せを教えてくれて

ありがとう……―――”








これからは

ひとりきりで生きていくから……―――