病院から戻ってきたママの顔は、見たこともないほどに疲れきっていた。




『ママ…っ』




ママに抱きつき、泣くぐらいしか出来なかった。




『絢音…、ママたち…離婚するわ』




“離婚”




わかっていたつもりだった……


でも、やっぱり…




すごく悲しくて……




苦しくて……




『離婚しないで…?お願い…』




『もう…決めたことよ…』




大人は

子供のことを考えない




自分たちの都合で


子供がどれほどの
深い傷を負い


どれほどの
涙を流すのか


ちゃんと知ってる?






『絢音、ママとパパどっちを選ぶ…?』






その一言が

どれだけ残酷なのか知ってる?




『もちろん、ママよね?絢音…?聞かなくたって決まってるわよね?』




ママは、あたしの手を握った。




『………』




パパは、何も言わずにあたしに背を向けたままだった。




パパが何も言わないのは、罪悪感から…?


あたしを引き取りたくないから?




だってパパは、ひとりじゃ家のことも何もできないじゃない……




ママ…パパ…


本当に2人が
大好きだったよ……




だから、

世界で一番、
大嫌いになって




生きていくって決めた。