走り去ってゆく、絢音の姿を見つめていた…―――。




絢音が一度も振り返らなくてよかった。




もし…振り返られたら


俺は弱さに負けて




絢音を抱き締めてしまったかもしれない……




揺らいでしまったかもしれない……




俺は、踏みつけていたシルバーリングを手にとり、握り締めた。




「…ごめんな…絢…音……」




一筋の涙が頬を伝う。




絢音……




絢音は教えてくれた


絢音の涙が教えてくれた




人をこんなにも




愛せることを……―――




俺は強くなる




どんなに遠く離れていても




あのふたつ星を見上げて




いつもおまえを想うよ




繋いだ手を離すことが




おまえを

幸せにすることだと




運命なら

きっと巡り逢えると




信じて………




サヨナラ……―――