パシッ…―――!!




蒼の左頬を思い切り、ビンタした。




「…………っつー…」




蒼は、頬を抑えるわけでもなく、ただ斜め下を向いていた。




「………行けよ」




蒼が小さな声で呟く。




「……ひとりで…帰れるだろ…?」




あたしは、泣きながら無我夢中で走り去った。




蒼に好きな人がいた




一緒に暮らしていた




あたしだけが想ってた




あたしだけが愛してた








あたしの信じていた蒼は


もう




どこにもいない……―――







こんなに
傷つくぐらいなら




こんなふうに
別れるぐらいなら




蒼を好きにならなきゃよかった




愛さなきゃよかった




愛されなきゃよかった




出逢わなければ




どんなに幸せだった…?




あたしは……




蒼の“幼なじみ”




それ以上でも

それ以下でもない




ただの

幼なじみ…―――。




もう二度と……


逢うことはないね……






サヨナラ……蒼