蒼の視線の先に立っていた女の人…




同い年ぐらいの綺麗な女の人。




ショコラブラウン色のゆるくかかったパーマの髪は、胸の辺りまである。




色白で、大きな瞳…




綿菓子のような、ふんわりとしたイメージの美女だった。




「コイツ、幼なじみなんだ。前に話したことあるだろ?」




幼なじみ……




あたし…もう

蒼の彼女じゃない……




“幼なじみ”




この言葉が、深く胸に突き刺さる。




その女の人は、あたしに軽く会釈をした。




「…………」




あたしは、彼女から目を反らす…―――。




「沙羅…先に帰ってて…」




ズキン…っ




先に…帰ってて…?




あたしは、蒼に背を向けた。




「絢音…、アイツ沙羅って言うんだ…」




聞きたくない……




これ以上…何も……




「俺の好きな女…」




嘘つき……




「幸せにしてやりたいって思う……」




嘘つき……




「俺…沙羅と一緒に住んでんだ…」




あたしは、左手の薬指にはめていたリング…蒼との誓いのリングを、蒼に投げつけた…―――。




「…嘘つきっ!!」




あたしが泣き叫ぶと、蒼は顔色を変えた。




冷めた瞳




ガシッ…―――




投げつけて、地面に転がったシルバーリングを…




蒼は、思い切り踏みつけて言った。




「おまえ…いい加減ウゼェ…わかっただろ?俺はもう…おまえのこと何とも想ってねぇから」