―――……
電車から眺める窓の外の景色は、オレンジ色の世界に変わっていた。
夏の夕暮れは
蒼と最後に行った
夏祭りのことを思い出させる……
浴衣を着て
手を繋いで
ドキドキしていた
あの16才の夏を……。
あたしは、遊也にもらったメモを元に、蒼の住む場所へと向かっていた。
ガタン…ゴトン…――
各駅電車に揺られながら、あたしは、蒼との日々を思い出していた…――。
嘘だって
何かのまちがいだったって……
きっと
あたしを抱き締めてくれるよね…?
蒼……話したいこと
たくさんある
いま…
会いに行くよ……――



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)