「……ごめん、遊也。」




あたしは、深く頭を下げて俯く。




「過去と同じ過ちは…繰り返せないよ…」




――…17才の時、

あたしは

蒼を裏切って



遊也を利用した



大好きな人も

大切な友達も


周りのみんなも




あたしのせいで

深く傷つけた……




それでも、
こんなあたしを


蒼は許してくれて

遊也は優しくしてくれた




ケンちゃんも美々ちゃんも見守ってくれた




もう二度と…過ちは繰り返さない……




大切に想ってくれる人を


傷つけるのは

何よりも悲しいって知ったから




「あの時とは…ちゃうやろ…?」




遊也は、眉間にしわを寄せ、深く大きなため息をついた。




「…蒼にはもう、新しい女がおるんや……」




「…そんなの嘘に…決まってる!嘘だもん…あたしはそんなの信じない…」




信じたくない

信じられるわけない




蒼があたしじゃない他の女の子を愛するなんて…




「ほんなら…自分の目で確かめてこいや…」




遊也は、妙に冷静な口調で話す。まるでそれが事実かのように。




「確かめるも何も、あたし今…蒼がどこにいるのか知らないし……」




本当は…逃げてるだけなのかもしれない




現実を知るのが怖くて…




蒼に電話すれば、蒼の居場所なんてすぐにわかるのに……




“信じてる”なんて

綺麗ごとを簡単に言ってるけど……




本当は

蒼に会うのが




怖いのかもしれない……




本当は蒼を疑っているのかもしれない




あたしが蒼をまだ好きでいたいから。