そっと唇を離すと、絢音の顔は、真っ赤だった。




これ以上…この顔見てたら理性が飛ぶ…




「そろそろ…帰る準備すっか」




絢音に背を向けて、俺はカバンの中に、洋服を詰め込む。




「…うん」




背後から聞こえた絢音の返事は、とても小さな声だった。




わかってたよ


俺だって……




離れるのが
どんどんツラくなることぐらい…




それでもただ…逢いたくて




逢いたくて

逢いたくて




たったの3日でも




逢いたかった




「なぁ…絢音」




「ん?」




「…この3日間、どーりでケータイ鳴らねぇと思ったら、ここ圏外らしい…」




特にケータイを見ようともしてなかった。




「えぇ〜本当だぁ!あたしママから連絡くるかもって思って電源切ってたから、気づかなかったぁ…」




「マジ山奥だな」




……っつーか




「タクシーどうやって呼びゃぁいいんだ?」




ドサッ……―――


俺たちは、頭が真っ白になり、カバンを床に落とす。




「どぉする…蒼…」




「落ち着け、絢音…冷静になろーぜ」




やべぇ……




俺らここから帰れねぇのか…!?