俺が洗面所で顔を洗い終えると、絢音の声が、背後から聞こえた。




「蒼っ!こっちこっち♪」




絢音が手招きをする。




「いいお天気だから、バルコニーでご飯食べよっ!」




「ナイス、絢音」




広いバルコニー。




木で作られた2つのイス。




木で作られたテーブルの上の皿には、絢音が作ってくれたおにぎりや卵焼き、ウィンナーに野菜スープにサラダ、フルーツが並んでいる。




「蒼、牛乳でいいよね?」




「あぁ」




綺麗な青い空の下で、俺たちはご飯を食べた。




「風が気持ちいいね〜」




爽やかな風が絢音の髪とともになびく。




その姿に、一瞬見惚れてしまう。




「……蒼?」




「…空気もうまいし、飯もうまいし、最高だなっ」




「本当、すっごく幸せ」




俺の大好きな

絢音の笑顔…




「俺もすっげぇ幸せ」




ずっとそばに


この笑顔のそばにいたい




ただそばにいれることが




こんなに幸せだったなんて…




俺たちは幼なじみで




ずーっと一緒にいた




幸せは…


ずっと近くにあったんだよな……




「ねぇ、蒼…昨日ここに着いたときは、もう夜だったから真っ暗でわからなかったけど………あれ見て…」




絢音の指さした方を見ると、そこには、緑の高原が広がっていた。




「行くかっ!!」




「うんっ♪」




俺たちは手を繋ぎ、高原まで走った。