「芸能事務所?…どぉでもいいけど…めんどくせぇ女。断ってんのにさ…」




俺は呆れて深い溜め息をついた。




「蒼に興味あんのかな?」




ケンのやつ、なんだか楽しそうな顔してんな。




「困るし、それに俺あういうタイプ苦手」




俺は、絢音しか興味ねぇっつうの…




「学校一の美少女って有名だぜ?何でも、今までフラレたことないらしいんだわ。付き合った男は数知れず…」




「どーでもいい情報をありがとーな」




俺は英語の宿題の続きに取りかかる。




「蒼、栞ちゃんにも興味ないのかよっ?」




「ねぇよ」




「マジかよっ?まぁな。人の彼氏でも奪うらしいから、女には嫌われてるみたいだけど…可愛いしさ。でもあれほどの美少女だぞ?一度でいいから…」




ケンは斜め上を向いてニヤついている。妄想が始まったのだろう。




「ケンって…ただの変態だな」




「男は、みんなそうだろ〜?」




「俺は好きな女しか興味ねぇよ…」




「俺を遊び人みたいに言うな。…そんなにいいかねぇ?絢音っち。俺にはサッパリだな…」




イラッとして、シャーペンの芯がノートの上でボキッと折れた。




「誰にもわかってほしくねぇよっ!」




ケンの顔に向かって消しゴムを投げつける。




「おーおー。ムキになっちゃって…可愛いねぇ?蒼くんは♪」