「…行ってきなさい」




「…はっ?」




俺は、顔を上げ、父ちゃんの顔を見つめた。




「金なら心配するな」




「冗談だよ…母ちゃん一人にするわけにもいかねぇーし」




「医者から母さんの状態聞いてな、母さんを説得したり、病院探したりしなきゃと思ってな…。休み取れたから帰ってきたんだ」




「けど休み取れたの1日だけだろ…?こんな状態で母ちゃんひとりにできねぇよ」




「仕事いま一段落してな…休み3、4日は取れそうだ…父さんが母さんのそばについてるから大丈夫だ。行ってきなさい」




「父ちゃん……」




マジかよ……




「時差とか、ちゃんと考えて帰ってくるんだぞ?休みそれ以上は取れそうにないからな」




「十分だよ…ありがと…父ちゃん……」




「それは父さんのセリフだ…ありがとな、蒼……」




俺は嬉しかった…




父ちゃんは、俺たちをほったらかしても平気なんだと思っていたから。




ちゃんと胸を痛めてたんだと知り、俺は救われた…。




すぐに帰ってくるよ…




母ちゃん……




問題はまだ何も解決していないけど…




俺はただ…




絢音に逢いたいんだ……