幼なじみ〜first love〜

蒼と話そうと思い、あたしは鞄から携帯を取り出した。




携帯の画面にうつし出された蒼の電話番号を見つめ、なかなか通話ボタンを押すことが出来なかった。




深く息を吸って、ボタンを押す。




呼び出し音が続き、勢いで電話してしまったことに後悔する。出ないうちに切ろうと思った瞬間、蒼の声が聞こえた。




“…絢音?”




変わらない…蒼の優しい声……




「…蒼」




“どした?そっち…まだ朝早いだろ…?”




「…うん」




泣きそうになり、言葉に詰まる。




“絢音…?なんか、あったのか…?”




「あたしたち……」




ごめんね……――




“…絢音……?”




「あたしたち…別れよ……」




あたしも、頭の中ぐちゃぐちゃで、どうしたらいいかわからない。


蒼を裏切ったの。


大切な友達も傷つけた。




お母さんのことで大変な蒼に、これ以上苦しい思いさせたくない。




お互いのことを思ったら、別れるべきなんだと思うから。