あたしは、遊也の家を後にした。
“ごめんね”
その言葉だけで、あたしの気持ちをわかってくれた遊也。
昨日の雨が嘘のような、白い朝焼けが空に広がっていた。
「…何やってんだろ…あたし…」
その場にうずくまり、昨日の出来事を思い出していた。
愛する人を裏切って
大切な友達まで裏切った
あたしのせいで
みんながバラバラになっていく
結局
自分の弱さのせいだ
あたしは同じ
あの汚い大人たちと同じ
自分を守るために
他人を犠牲にする
そんな汚い大人と同じなんだ
誰も傷つかない愛を
本当の愛と呼ぶ
この世に
本当の愛なんてあるの…?



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)