「……蒼と……別れなきゃいけなくなった……」




俺は、思いもよらない突然の言葉に驚き、髪を乾かす手を止めた。




「…何…言うてんねん…。ケンカでもしたんか？」




「違うの」




「まぁ遠距離恋愛っちゅーんは、なかなか大変やと思うわ。淋しいやろーけど、おまえらなら大丈夫やって」




「違うの、遊也…蒼とケンカなんてしてない」




「ほんなら…何が原因なんや？」




絢音は黙りこむ。




「話したくないんやったら無理せんでええよ。せやけど…おまえが別れるなんて言うから…」




絢音は振り返って俺の目を見つめる。その目にいっぱいの涙を溜めていて、俺はただ切なくて、苦しくて…




「…嘘みたいな…本当の話を遊也は信じる…？」




「なんやそれ…」




「…蒼とあたし…兄妹かもしれないって……」




絢音は、再び俺に背を向けて、俯き静かに涙を流した。




「…俺の耳が…おかしくなったんやろか…？」




そんな嘘みたいな話

信じられるわけないやろ？



蒼と…絢音が…兄妹……？




何がどーなって、そうなったんや？


わけわからへん……。




頭が混乱しとるわ。




「パパと…蒼のお母さん、不倫してたの…」




「ハァッ！？なんやて…？」




「…パパは、蒼が自分の子かもしれないって…あたしにそう言った」




絢音どころか、俺まで気が動転してきた…。




「そんなん…嘘やろ…？そんな話、誰が信じんねん」




「ホント…最低でしょ…？嘘みたいな本当の話…」




信じられへん…そんなこと…


……兄妹って。