受話器からやっと聞こえた微かな細い声…




“………遊也…っく…ひっく……”




絢音が泣いとった……




「おまえ今、どこにおんのやっ?!」




この大雨の中、ひとりで泣いとんのか…?



何があったんや……




“……………こうえ……ぅぅ…っく………”




「おいっ!?息苦しいんか…?」




まさか絢音…

また過呼吸が……




過呼吸になるくらいにショックなことがあったっちゅーことやな。




“…カンカンカンカン…――”




踏切の音が聴こえた。俺はこの街の踏切のそばにある公園を頭の中で必死に探した。




あそこの公園か…!!




「すぐ行ったるから!そこで待っとけや!?」




俺は急いで、財布と携帯を持ち、玄関に向かう。




「ちょっと遊也!一体どーしたのよっ!?」




瑠奈が台所から慌てて出てくる。




「説明してる暇ないんや…」




「遊也?!」




ガチャガチャ…キィー…




「ちょっとぉ!遊也…っ!すぐ帰ってきてよっ?!」



瑠奈の声なんて、全く耳に入らなかった。




すぐに行くからな




絢音、どうか無事でいてくれ…