「あぁーびしょびしょやんけ」




濡れた制服をパタパタとさせながら、アパートの階段を駆け上がると、俺ん家のドアの前で、うずくまっている女がいた。




「…おかえりっ」




「もう来たんか。雨降って寒いやんか…風邪ひくで?」




待っとったんは、瑠奈やった。




「…中、入れや」




「うん」




鍵を開け、瑠奈を部屋の中に入れた。




「おじゃましまぁーす」




「おぉ」




俺はびしょびしょに濡れた靴を脱ぐ。




「…さっきケンから電話あってな、美々と二人来ぇへんって…」




「そぉなの?」




「絢音には悪いけど、今日は二人で飲もか…」




「うんっ」




瑠奈が嬉しそうに返事をして、台所へと向かう。