―――……
傘を差していても、身体が濡れてしまうほど、雨は強くなっていた。
「すっごい雨やな……」
俺は居酒屋のバイトを終え、家に歩いて帰っている途中やった。
ピリリリリ…
ピリリリリ…
制服のズボンのポケットの中で、携帯が鳴っている。
「…ケンかぁー?」
“…あー遊也?バイトおつかれ〜”
「もう俺ん家に着いたんか?まだ22時前やで?」
“いや…いま、美々ん家にいるんだけどさ…今日俺ら飲み会パスするわ”
「えっ?何でや?」
“雨…すげぇ降ってるしさぁ…美々がちょっと風邪気味なんだよ。そーゆーことで、じゃな!”
「お、おい…ちょー待てやっ!…切れとるがな」
一方的に切りやがって。
美々のやつ、今日学校でピンピンしとったやんけ。風邪引いてそうな気配、一切なかったんやけど…
まぁどーせ、美々とラブラブやって出かけんのが、ダルくなったんやろ?
どーすんねん。
絢音も誘ってもーたやんけ。
瑠奈と3人…なんか気まずいんやけど。