傘も持たずに、真っ暗な夜の雨の中を無我夢中で走り続けた。




最低…!最低…!


パパなんて大嫌い…!!




「蒼……っ…ハァッ…ハァッ…」




好きだよ、大好きだよ




蒼…誰よりも愛してるよ




ズザザザッ…―――




道路の真ん中で、石につまづき、思い切り前のめりに倒れこんだ。




――痛い…っ




腕から赤黒い血が雨とともに、地面に流れていく。




立ち上がる力もない。




左手の薬指に光る、蒼からもらった指輪を見つめた。




「蒼……今すぐ…会いに来て…会いたいよ……」




あたしを…助けて…




あたしを抱き締めて……―――




雨は、激しく降りそそぐ…。




蒼…あたしたちは


結ばれない運命だって




生まれる前から


決まっていたのかな




変えることが出来ない運命なら




あたしたち何で惹かれ合ったんだろうか…