蒼の顔は、蒼のお母さんによく似ている。


大きな目、すっと伸びた鼻…顔立ちだけじゃなく、雰囲気も似ている。




蒼が蒼のお父さんに似ているところを、必死に思い返してみた。




蒼のお父さんは、小さい頃から仕事人間で、ほとんど家にいなくて、あたしもあまり会うことが出来なかったから。




似ている部分なんて、思い出せなかった。




蒼がパパの子供…?
あたし…気がおかしくなりそう…。




「ねぇ…もしかして、自分の子だから蒼のこと…可愛がってたの…?」




「……可能性があると言っただけだ…」




苦しさ、悲しみ、それ以上に激しい怒りを覚えた。




悲しさを越えた……怒り、自分が自分でいられなくなるような気がした。




「蒼のお母さんが言ったの…?蒼はパパの子供だって?」




あたしは、自分の震える左腕を必死に押さえこむ。




「………あぁ、そうだ」




――…パシンッ!


パパの頬を思い切り平手打ちした。




悪いのはパパなのに…どうして叩いたあたしの手も痛いの?




「……ひどぃよぉ……そんなこと今さら言われても困る…!」




ガチャ……バタンッ…――!!




あたしは、そのまま家を飛び出した。