学校までの桜並木道を、足早にあたしは歩いていく。




「おい、絢音!いつまで怒ってんだよ?」




蒼が、後ろからあたしの腕を掴み、グイッと身体を引き寄せる。




「当たり前でしょ?ホント最低〜」




あたしは蒼の顔を、下から思い切り睨み付けた。




「わざとじゃねぇって…ホントに…寝ぼけてて…たまたま…」




あたしの気持ちも知らないで…


バカっ……。




プップー…――!!


突然、大きな車のクラクションが聞こえた。




「危ねっ!」




あたしは怖くて咄嗟に、ぎゅっと目を瞑る。




ブォォォォン…――




勢いよく運転の荒い車は走り去っていった。




目をゆっくりと開けると、あたしは蒼の胸の中にいた。車にひかれそうになったあたしの身体を抱き寄せ、蒼は庇ってくれたのだ。