幼なじみ〜first love〜

ズデンッ…―――!!




あと5メートルも走れば、俺にバトンタッチの所で、絢音が思い切り前のめりで倒れ込んだ。




「あちゃーーぁ…」




クラスのみんなの溜息が聞こえた。




絢音は倒れ込んだまま、ビクとも動かない。




「…絢音っ!立てっ!最後まで一生けんめい走れやっ!諦めたらそこで試合終了やって…安○先生が言うとったやろ?」




俺は絢音に向かって大きな声で叫んだ。




「…いまマンガの中の先生出す?」




隣で美々が呆れたように俺に言った。




「名言やんか。美々は黙っとけ」




絢音が涙ぐんで、ゆっくりと立ち上がった。




「ガンバレっ!もう少しやっ」




絢音は、右足を引きずりながら、なんとか歩いて俺にバトンを渡す。




「ごめ…ん…遊也…っ」




「まかしとけっ」




俺は絢音からバトンを受け取り、いまだかつてないくらいの本気で走りだした。




ぜってぇ…抜いてやるからな




絢音…!

見とけや……!!