体育祭もだいぶ盛り上がってきた。応援もちょっとひと休みしようと、俺はペットボトルを口にくわえたままグラウンドの隅の方に移動した。




「…遊也、ちょっといい?」




後ろを振り向くと、美月が立っていた。




美月は、高1の夏から何ヶ月か付き合っとった…俺の元カノ。




「…ええよ?」




美月と話すんは、別れた以来やった。




2年になって同じクラスになっても、目も合わそうとせぇへんかった美月が、自分から話かけてくるなんて…何かあったんやろか。




俺たちは、誰もおらん校舎裏に移動した。




「…どないしたん?」




俺は校舎の壁に寄りかかって座り、立ったままの美月を見上げて訊いた。




「…好きなの…まだ…遊也のことが……」




「……美月」




美月は俯いたまま、小さな声で言った。




「遊也のこと…忘れられない……」