幼なじみ〜first love〜

俺と絢音は、向かい合って立ったまま、ただ見つめ合う。




「…笑って見送ろぉって…思ってたのに……」




絢音の目には涙が溢れ、泣くのを必死に堪えていた。




「…うまく…笑えないね……ごめん…蒼……」




「…いいよ」




絢音は両手で、俺の右手を力強く握り締めた。




「蒼…ここで待ってるからね。ずっと…ずっと……」




「うん」




「だから…サヨナラは…言わないから……」




「うん…」




ジリリリリリッ…―――




鳴り響く…電車のベルの音……




「いってらっしゃい…」




絢音は、そう言って俺の右手を離し、少し後ろに下がった。




絢音が離れてく……




「絢音っ……!」




俺だってツラいよ……




おまえと離れたくない…っ!




「絢音…っ!!」




たくさんの涙が、絢音の頬を伝う




俺は、絢音をもう一度、強く力いっぱい抱き締めた…―――。