「本当の気持ちを言ったら…何か変わるの…?蒼を困らせるだけなのに…」




蒼はもう決めてたじゃない




最初から…アメリカに行くってこと。お母さんをほっとけるわけない。




「頭と心が違う場合…どうしたらいいの…?蒼…教えてよ」




頭ではわかってる


心はわかってない




「あたしは…どうしたらよかったのぉ?!教えてよっ!答えてよぉっ…」




頭と心は別なの


人はそんなに簡単じゃない




「蒼と一緒にいたい……離れたくない……」




お願い……神様




あたしたちを引き裂かないで……




「好きだよ…大好きだよ……蒼…。…ひとりにしないで…っ……蒼がいなきゃ……あたし……っ……」




「…絢音……」




「…どこにも…行かないで…っ――…」






蒼の背中に腕をまわした。




蒼が、何処にも行かないように、強く、強く抱き締めた。




どこにも行かないで……


ずっとそばで




笑ってて……


あたしたち生まれた時から一緒だったんだよ




蒼がいない世界なんて


知りたくもない





二人の髪や全身を濡らす、なまぬるい夏の雨は、強くなるばかりだった……。




「今言ったことは…心の部分。蒼…ワガママでごめんね……」




自分の

弱さのせいにして




ごめんなさい




「…別れるなんて…言わないで……」