そんな遊也の姿を見ていたら、俺もまた悲しくなった。




「絢音から聞いた…おまえのこと…」




自分が

“家族”と呼べる人が誰もいなくなったら




自分のことを“家族”と呼んでくれる人がいなくなったら…




一体…どういう気持ちなんだろう




想像もつかない




「どーしょーもないやろ…俺」




遊也は苦笑いで、俺の顔を見た。




「こんなはずちゃうって…そう思うこと…たくさんあんねん」




「…んなことねぇよ…おまえ頑張ろうとしてんじゃん」




「そりゃ…絢音が好きやからな…」




「…好きって…はぁぁぁ!?フラレたんだからあきらめろよっ!」




俺は、遊也の体にまたがり、胸ぐらを掴む。




「蒼は、絢音のことになると、すぐカッとなるんやなぁ。普段はクール気取っとんのに。嫌な奴ちゃな」




楽しそうに、白い歯を見せて笑う遊也に怒る気が失せる。




「蒼が絢音を幸せにしとんなら…邪魔せぇへんよ。せやけど、もしこの先…蒼が絢音を泣かせとったり、苦しませとったりしたら…俺、本気で絢音のこと奪うで?」




遊也の真剣な目に…俺は、胸ぐらを掴んでいた手を離した。