白いスニーカーのそばに落ちていた、割れたビンのカケラ。




赤い血…いや黒い血が………




足跡とともに、海のほうへと続いていた。




『…こ…れ…智也の…』




絢音が、スニーカーを見て…崩れ落ちる。その背中は小さく震えていた。




『あ…や…』




すぐに俺の唇も、身体も震えてきた。




ケータイを手にしても、どこへ電話をかければいいのか…頭が真っ白で…何も考えれなくて……




ただ…絢音を守らなければいけない




そう思った……。




カサカサカサ…――




智也のスニーカーの下に、挟んであった紙切れに気づき、絢音がそれを広げた。




『……っ…ともやぁぁぁ…――!!』




紙を握りしめたまま、うずくまり震え泣き叫ぶ絢音を、俺は抱き締めた。








紙切れに書かれていたのは………




………“あやね バイバイ”