―――……
「最後の電話って……どういうことだよ?」
ケンは、目を見開き驚く。
「智也は…その日、夏休み最後の日に…………死んだ」
そう…
あの日、智也は、あの海に消えた…――。
「死んだって…そんな…」
「自殺だった……」
「…………自殺?」
小5だった俺たちには、あまりにも衝撃で、ただただ苦しかった。
「絢音は、今回の高梨のことで、智也と重ねてる。絢音は、自分のせいで智也が死んだってそう思ってる。」
「ちょ、ちょっと待てよ…」
「高梨も失うんじゃないかって…自分のせいで人が死ぬなんて思ったらさ…、人間耐えられないよな……」
「美々のことは…栞のせいだし、その智也ってヤツが死んだのも、絢音っちのせいなわけじゃないんだろ?」
「あたりまえだろ…?でも絢音はそう思い込んでる……周りがいくら言っても、自分を責めて続けてる…」
絢音の心の傷は
深く…深く…刻まれている
絢音は、あの夏の日から…、
魂が抜けた状態…そうまるで、空蝉のよう



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)