幼なじみ〜first love〜

「はっ?智也って誰?」




ケンは眉間にしわを寄せ、俺に訊いた。




「…ケンには、話したことなかったよな…」




俺は深く息を吸い、空に向かって白い煙りを吐き出した。








――…小学校の時、クラスに桜井 智也ってヤツがいた。




端正な顔立ちをした智也は、口数の少ない、おとなしい静かなヤツで




そんな智也が、小5になって急に人が変わったように明るくなった。




その頃、絢音が、智也によく話かけているのを俺はよく見かけていた。




小学生の頃の絢音は、誰にでも優しく声をかけたりするタイプで、世話好きっていうか…でも周りでは八方美人だって、よく思わない女子たちもいた。




絢音は…単純に優しい心の持ち主なんだ。




智也が明るくなったのは、絢音と仲良くなったからだと思った。




しかし、小5の夏の終わり…、




あの忘れられない夏はやってくる…――。