あたしたちの家の前に着くと、朝とは全く違う光景がそこには広がっていた。




鈴ヶ森家と水嶋家は隣通し。ありえないことが起きている。




「な、なにこれ?!」




蒼の家がなくなってる。


今朝までそこに建っていたはずの、一軒家がない。




ガッシャン――…ウィーン…――!

重機が蒼の家を取り壊している。




「な…な…何で!?嘘でしょ…!!」




「親父の仕事の都合で、母ちゃんも一緒について行った。今日から家、取り壊しだってさ」




「えっ!?お、おじさんとおばさん、ど、どこへ?」




頭が真っ白というより、パニック状態だ。




「アメリカ」




アメリカって……why…!?




「と、遠すぎるっ!」




「そうだな」




蒼は至って冷静な様子だ。




「そうだなって……何でそんな冷静な……そんで蒼は?」




「俺?ここにいるじゃん」




うそ……じゃあ蒼も…すぐにアメリカへ…?




行っちゃうんだ…――。