「なぁ…ケン」




「んー?」




「…絢音のヤツ、また可愛くなったと思わね?」




俺は、深く溜め息をついた。




「絢音っちが…?そうかぁ?別に中学の頃とそんな変わんねぇけど」




「いーや。可愛くなった…制服のスカートも短すぎだろーよ」




「おまえはおっさんか。今どきの女子高生はみんな、あんなもんだろ?」




他の女は、どうでもいい。でも絢音がスカートが短いのが嫌だ。




他の男に見られるのが嫌だ。




「なんかアイツ…甘い匂いすんだよ…シャンプー買えたのか?」




「モテモテの蒼くんは、ただの変態ですな」




「変態ってゆーな」




「絢音っちにゾッコンだな。…ゾッコンってなんか古いなっ…ハハッ…」




「絢音が誰かに持っていかれたら…どうしよう…俺…」




「蒼、おまえ…俺の話聞いてねぇだろ?」




あー!考えただけで、苛立つ。そんなの耐えられない。




「…大丈夫だと思うぜ?蒼が思ってるほど、絢音っち、別に可愛くねぇし。モテないじゃん」




「ケン…てめぇ。口に気を付けろ」




「可愛くないは言いすぎだな。普通だ」




「…ふざけんな」




俺はケンの左腕を拳で強めに殴った。




「…冗談だよ。俺と絢音っちの仲だから、いーだろぉ?」




俺は再び空を見上げる。
何度ため息をついただろう。




「そんなに不安なら、告ればいいじゃんよ…」