俺は、部屋に入ってしまった絢音に呼びかけることも出来ずに、自分の部屋に戻る。




床に置いてあった携帯が光っていた。ケンからの着信だった。




「…はい」




“蒼?絢音っち…平気か?”




「ケン、今まで絢音と一緒にいたのか?」




“美々が…手首切って…自殺しようとしたんだ…。…さっき病院に来たんだけど、命には別状ないって”




「高梨がっ!?どこの病院?俺も今から行く…!」




“いや、いい”




「何でだよ?」




“おまえは絢音っちの側にいてやって?…さっき絢音っちに電話した時も…なんか様子が変だった。”




「変って…」




“…仕方ないよな。美々がこんなことになるなんて…思いもしなかった”




「…あぁ…また連絡する」




高梨が手首を切った?


まさか自殺しようとするなんて…




俺のせいだ。俺が栞にあんなふうに言わなかったら、高梨はあの日何も起こらなかった。




俺の判断ミスのせいで


ごめん…高梨。




「許さない…絶対に…」