ケンちゃんとは公園で別れた。


どうやって家まで歩いてきたのか、どの道を通ったのかさえ、記憶がない。




いつの間にか、気づけば暗い部屋の中で、あたしはベッドの上に座っていた。




ケンちゃんとあの後、何を話したのかさえ覚えていない。




しばらくして、美々ちゃんの命が助かったことを、ケンちゃんからの電話で聞いた。




あたしは…美々ちゃんにどんな顔して会いに行けばいいのかわからない。




もう何をすればいいのかも、わからなくなっちゃった。




「美々…ちゃん…」




目を閉じれば、美々ちゃんの笑顔が浮かぶ。




笑顔であたしの名前を呼んでくれるのに。




消えることのない傷を


美々ちゃんは




心にも体にも跡を残した。




誰…?誰がこんな卑劣なことを…?




もうわかんない…何も…


助けて……




「…蒼……助けて……」




振り絞った小さな声が隣の部屋の蒼に届くはずなんかなかった。




違う…蒼は…もういないんだった。




蒼は栞の彼氏になったんだ………




“俺のこと…信じろよ…”




蒼の…嘘つき…




あたし…ひとりぼっちなんだ。