あたしとケンちゃんは、近くの公園のベンチに座った。




暗夜に、白い月がぼんやりと浮かぶ。




ケンちゃんは動揺していた。

落ち着くまであたしは、ケンちゃんの背中をさすり続けていた。




「…血だらけだった…美々の手…」




ケンちゃんの一言で、胸がえぐられるようだった。




「美々は…死ぬ気だったんだ…」




「…いま…何て言ったの…?」




一瞬、この世界から音が消えた気がした。


時間が止まったように。




いつも明るくて

シッカリ者


そんなミミちゃんが




自分で命を絶とうとするなんて…




そんなの信じられなかった。


信じたくなかった。




「あたしのせいだ…」




「絢音っち…違うよ」




ケンちゃんは、あたしの両肩を力強く掴む。




「美々ちゃんは…あたしのせいで襲われた…恨んでた…あたしを…恨んで…悲しみから抜け出せなくて……」




「この前はごめん…オレも動揺してて…言い過ぎた…。絢音っちのせいじゃないのに…誰かのせいにしたかった…」




「ケンちゃんがあの時言ったことは、何も間違ってなんかないよ…」




「…違う!絢音っちのせいなんかじゃないっ!」




ケンちゃんの言葉を、素直に受け止めることは出来なかった。




だってあたしがいなかったら、美々ちゃんがあんな辛い目に遭うことなかったんだよ。




あたしのせいで、こうなったの。




美々ちゃん…ごめんね。