真嶋先輩が落ち着くまで、どれくらい時間かかったかは定かではないが、時計の針は、18時を回ったとこだった。

真嶋先輩は

『ごめんね・・』

と言って立ち上がり、その場を去ろうと、歩き出した。
たくみは、俯きながら歩く真嶋先輩の後を追い、付き合って歩いた。

まさか、変な事はしないだろう思ってはいたが、真嶋先輩を、そのまま独りにはして置けなかった。

たくみは必死に脳を働かせ、なにかかける言葉がないか考えたが、いい言葉が思い付かなかった。

その時、タイミングよく、カラオケボックスのビラ配りが、たくみにチラシを渡して来た。

『真嶋先輩!カラオケっす』

突然大声で発した言葉に真嶋先輩はびっくりしたが言葉を発する事なく、手を横に振り、ムリムリのそぶりを見せた。

この反応は読めていた!すかさず、そのムリムリの手をたくみは奪い、カラオケボックスのある方へ、引っ張って行った。

カラオケボックスでは、この不景気なため、客足が遠退いているので、店員は暇を持て余していたのか、すぐに部屋へ案内された。

どこにでもある普通の部屋だったが、ブルーで統一された部屋は、今の二人の雰囲気からすると逆効果だ!