すると、どこからか声が聞こえてきた。 「何度来て頂いても、綾はあのままの状態です。・・・お引き取りください。」 それはお母さんの声。 誰と話しているのかわからないけど、この部屋の窓側とは反対側の、あのドアの向こうから声が聞こえてきた。 ・・・そうか、ここって病室。 だんだん意識がはっきりしてきて、自分の置かれている状況を理解出来てきた。 そうして、廊下にいたであろう人物の足音が聞こえた。 お母さんと話していた人、帰ったみたい。 ぼんやりとそんな風に思っていた。