がやがや

教室

「あっ、春さん春さん」

「なあに夏ちゃん?」

「今日の朝読書、春さんはなに読むのっ?」

「私? 私はまたこれだよ。ケータイ小説ぅ」

「へぇー。その紙の束ねられた『本』の状態でも、ケータイ小説っていうんだね」

「言うねぇ」

「世の中ってさ春さん、妙な名前のもの多いよねっ」

「うんー、たとえばあ?」

「だって、ケータイって、携帯電話のことじゃん? でも、携帯灰皿はケータイって言わないんだよっ? 同じ『携帯』なのにっ」

「うーん、言われちゃうとそうかも」