基地を出て、階段を上って降りて、エレベーターにも乗ったりして、彼らが着いた場所は、ある部屋の前。


「市長室?」


 友梨ママさんが、部屋の前で不思議な声を上げる。


「あぁ…そういうことですか…。」


 ようやく、ここまで来て実くんも理解したらしい。


「まぁ、違っても『間違えました』とか、言いながら一発ぶん殴って、蹴りいれて、やき入れて、帰ればいいだけだしね…。」


 恵さん…。あなた…。


「まぁ、市長にはだいぶ恨みもありますしね…。」


 いや、実くんも…。


「暴力はホドホドにね…。」


 とはいえ、青山もこの市長には多大な恨みがあるため、決して彼女たちを止めるような発言はしなかった。


 さて、入るか…。


 青山がドアのノックをしようとした矢先。


「お前たち…俺たちより早く来てるとは…。」


 聞き覚えのある声が、右から聞こえた。


 顔を向けると、そこにいたのは、先に出たはずのレッドと和音パパ。そして、相変わらず危ない発言を繰り返すピンクだった。


 レッドの手に持っているスイカには…あえて、ふれないほうがいいんだろうな…。